新年会シーズン


1月もすでに半ば、すっかり普段通りの生活に戻ったスイス。
お正月休みのないスイスは、日本人にとっては少々さみしいもので、年初の2日か3日にはもう職場に戻っている人が多い。

新年会といえば、やはり日本の会社をイメージするが、この時期スイスでは各都市にある日本人会の新年会がピークになる。
日本人会の会員の方たちと、スポンサー企業、大使の出席など、普段はあまり会うことのない人たちと交流できる場でもある。
ホテルで開催することがほとんどであるが、ホテルに了解を取り、持ち込みの日本酒で乾杯させてもらうと日本の新年を感じることができる。
さらには、お寿司の差し入れもあり、ホテル側のビュッフェ形式の食事と合わせて申し分ないメニューだ。

一度にこれだけ多くの日本人が集まることはなかなかないので、スイス在住歴の長い人の話なども聞ける機会でもある。
50年以上スイスに住む人のお話を聞いた際は、今では想像もつかない状況での移住だったのだと改めて感じた。
まず、日本から船で40日以上かけて、欧州にやってくる。その後電車で何時間もかけてスイスに入る。1ヶ月以上もかけてスイスに来た時代を想像すると、本当に後戻りはできない覚悟で結婚、移住したんだと思わされる。それがいまでは、飛行機13時間程度で日本に帰れる。
日本に手紙を送ると届くまで約1ヶ月かかり、ほぼ毎週のように手紙を書いたそうだ。

そして、一番心に残ったお話が、スイス人のご主人が日本人の奥さんの誕生日に、何が欲しいかと聞いた際、日本の両親に電話をかけさせて欲しい、とお願いしたそうで、その要望にご主人は快くOKした。日本にはあらかじめ手紙で何月何日に電話をかける知らせをして電話をしたそうだ。
しかし、電話口で日本の家族の声を聞いた瞬間、お互いに泣き出してしまい、ほとんど何を喋ったのかわからないまま、電話が終わってしまったそうだ。

今ではスカイプやラインでリアルタイムで連絡の取り合える時代。1回の電話がどれほど貴重だったのか、1通の手紙がどれだけ嬉しかったのか、便利になった代わりに失ったものもあると思わずにはいられなかった。
スイスにいろいろな理由で暮らす日本人の話は、飽きることはない。
皆さんも楽しい新年会を。