アメリカの入国禁止令


アメリカのトランプ新大統領になり、早速TPPの破棄やメキシコ国境に壁を作るなど、過激な言動が絶えない。
今度は、特定の国籍を持つ人たちのアメリカ入国を禁止する、というあからさまな差別的な大統領令を出した。
入国禁止された国は、イラン、イラク、シリア、イエメン、ソマリア、スーダン、リビアのイスラム教の7カ国。
既に永住権を持つ人は免除すると言い直すなどはしているが、いずれにしても差別的だ。
既に移民としてアメリカで生活をしている人や特殊技能を持ってアメリカで生活している人も、突然存在を否定されたかのような印象だろう。

仮にスイスが日本国籍者を入国禁止にしたならば、我々のようにスイス人と結婚して生活している人間はどんな気持ちになるだろうか?怒りを通り越して悲しいと思うだろうか。

ここで問題となっているのが、これら該当国の2重国籍の人たちだ。例えば、スイスの国籍を持っていても、上記の7カ国の国籍を合わせて持っていると、入国が拒否される可能性があるということだ。
このスイスにも、これらの入国禁止された国籍の人たちがたくさんいる。彼らもアメリカに親戚や兄弟がいるかもしれないし、どうしても行かなくてはいけない人もいるだろうに、国籍でテロとの関係を疑われてはたまらない。
あれだけの大国、人種の坩堝と言われる自由の国アメリカが、不自由な国になってしまう。なおかつ世界との関係がうまく行かなければ、行き着く先は世界戦争となりかねない。

どこまでがパフォーマンスで狙いは何なのか?このような策でテロリストの入国やテロ行為を防げるのであれば、とっくにやっていただろうし、いまいちピンとこない。鎖国でもしようとしているのだろうか?
逆にテロリストたちにアメリカを攻撃するきっかけを与えているようにすら見える。

当初は欧州に無関心な態度をとっていたものの、長引くユーロ安を利用しているドイツ、と批判したりして、ますます孤立するような立ち振る舞い。ブレグジットでEU離脱を表明したイギリスのメイ首相とは会談したが、他の欧州の国々とどのようなスタンスでやっていくのか?日本との関係も気になるが、やはり自身の住んでいる欧州との関係が気になる。

ここ数年は欧州がテロリストのターゲットになっていたが、トランプ大統領がしたような挑発的な入国禁止令は、テロと対峙する国々との溝をも深める。
まだ新政権としての基礎もできていないので何とも言えないが、今後もトランプ大統領の対外政策、特に欧州との関連を注視していきたい。

2/12日のスイス国民投票では、移民3世のスイス国籍の手続きを簡素化するか否か、という議題だ。現在のアメリカとは対照的な議題と民主的議論ではないだろうか?