ダボス会議


今年もまたスイスで世界のビジネスリーダーが集まる、ダボス会議、世界経済フォーラムが始まる。
今回初参加をする中国の国家主席も昨日スイスに到着した。
まもなく大統領が変わるアメリカからは、トランプ新政権からではなく、オバマ政権のバイデン副大統領とケリー国務長官が参加する予定だ。
ちなみにケリー国務長官は、スイスのプライベートスクールに通った経歴を持つ。
昨年は波乱の1年で、テロの脅威に加え、イギリスがEU離脱を宣言し、アメリカの次期大統領にトランプ氏が選ばれ、今年はいよいよそれが現実となる。
2017年は、どのような年になるのか、まだ予測がつかない。

スイス国内の報道では、次期大統領のトランプ氏が「欧州のことは関係ない」「ドイツは難民を受け入れたのが失敗だ」といったような欧州軽視の発言をし、早速反感を買っている。世界を股にかけるビジネスマンがどれほど欧州のことを知っているのかはわからない。

先日、日本人会の新年会において、駐スイス日本大使のご挨拶として、現在の世界経済の状況と日本の状況についてお話をされた。
色々な話題に触れつつ、その中でも、果たしてグローバリズムがどこの国にとってもいいものなのか?という疑問をそろそろ持たなくてはいけないということを言われており、まさしくその通りだと感じた。
先進国が求めるままに経済政策を進めれば、当然疲弊が出て不公平が生じる。世界すべての国と人に平等はありえない。
有利な立場に立つ国が、他の国をできるだけ助けるより方法はない。だから、単純にドイツが移民を受け入れたのは失敗だとは思わないし、問題が出ることはわかっていたはず。その対応次第では、苦境に立たされたが故にいい方向に傾くこともある。

ただ、予想外の難民の多さとその一部の犯罪行為、テロの脅威が相まって、国民は不安になったのも事実。
スイスでも難民は受け入れていて、当方の近所の施設も確かに増えている。しかし、今のところ特に大きな問題は聞いたことがないし、至って平穏な日常がある。要するに、受け入れることのできる限界を把握し、難民の人たちがストレスを溜め込まないように対応すれば、うまく機能する。
その後、スイスに留まるのか、別の欧州の国へ流れるのか、祖国へ帰るのかは次の問題だが、ひとつひとつのプロセスが非常に大事な移民政策だと思う。

世の中が変化するスピードは早くなり、加速すればするほど問題も起きる。あまりのスピードに、問題が置き去りになることもあり、忘れてしまう可能性もある。何事も行動を起こせば、どこかで摩擦が生じるのは仕方のないことだが、臆病になって何もしないよりはいいのはもちろん、先進国としての責務であるように思う。