スイスでの離婚率

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スイスでは、離婚率が割と高く、49%近くの夫婦が離婚しているというデータがあります。
ちなみに日本では、およそ3組に1組が離婚で30%近くといった感じですが、最近は日本でも増えていると聞きます。

スイスに住んで10年以上になりますが、友人や知人夫婦で、別居状態や離婚した夫婦が実に10組以上もいます。
家族ぐるみで付き合いのあった場合は結構ショックですし、まだ小さい子供たちのメンタルケアも気になります。
スイス人の離婚率が49%ですが、国際結婚をした夫婦の離婚率に限ればもっと高くなるはずです。違う文化や宗教、価値観の違う人間と結婚するわけですから、同じ国籍の人間と結婚するよりもハードルが高いのはいうまでもありません。自身も国際結婚という選択をして、今日に至りますが、当初はいろんな場面で文化の差、価値観の差を感じることがありました。

離婚の理由は千差万別で、夫婦のことは夫婦にしかわからないでしょうが、性格不一致、不倫、宗教の違いから生じる問題などが多いでしょうか。
スイス人女性が、結婚して子供を産み、夫が高収入で生活が安定していて働かなくてもいい状態なのに、週に1、2回働きに出るケースをよく見ます。これは、いつか離婚してしまったら、やはり女性自身がある程度自立していないと、その後の生活が大変だという危機意識があるから、とスイス人に聞いたことがあります。もちろんキャリアを積んできた女性であれば尚更、それを結婚で捨てたくない気持ちが強いでしょう。
一見、全てがうまくいっていても、最近のスイス人女性が常にそうした意識を持っているのは、離婚率の高さと無関係ではないでしょう。これだけの離婚率であれば、周りで離婚して苦労している女性を見ているからです。日本の寿退社などという慣習はスイスではあり得ません。おそらくスイス人女性は億万長者と結婚しても、仕事は辞めないでしょう。

未成年の子供がいて離婚した場合は、成人するまで子供の養育費を払うのはどこでも同じかと思いますが、例え夫の方に非があっても、奥さんの方には援助義務はいずれ無くなります。または、離婚後に夫が失業したなどの場合は、お金を請求することも難しくなります。
その辺は個々のケースで当然異なり、弁護士などを入れ、話し合いで決めることですが、こうした情報も常に頭の片隅にあるといったところでしょうか?

また子供がいる場合、別れた親が子供に面会する権利があります。2週間に1回は別れた父親か母親に会える権利があり、子供が拒否しない限り、ほとんどの親が同意しています。
この点については、例え離婚しても生き別れになるようなことがなく、良いと思います。別れた親のほとんどが、子供の生活圏の近くに住んでいて、何かあった場合にもサポートできるような環境を作るようにしています。ただ単に法律的に良いという事ではなく、親がきちんと子供のケアを考えているケースがほとんどです。もちろん子供に危険が及ぶ場合は全く別の話ですが。

とにかく、離婚の多いスイスでは、離婚後の生活がなるべくうまくいくように、法的にも個人の意識も同様に高いというのが印象です。できれば離婚など経験したくないものですが、うちは大丈夫などと、希望的観測をなるべく持たないスイス人気質も垣間見えます。今回は特に女性の立場について書きましたが、男性も社会的な立場や信用を失ったり、離婚協議がうまく行かなかった場合など、非常に苦労するのは間違いありません。
こうしたことの裏返しなのか、子供ができても、結婚しないで同居を続けるカップルも多いスイス。これについては別の機会に書きたいと思います。